果菜類葉菜類根菜類の生長の基本的な違いは?
 キュウリやトマトなどの果菜類は、キャベツやレタスなどの葉菜類やダイコン・ニンジンなどの根菜類と生長のパターンがまるで違っています。栽培する前にこの違いをよく知っておきましょう。
 植物のタネが発芽すると、まず茎ができ、根を伸ばし、葉を何枚も作って大きく広げます。このような体を作る生長を栄養生長(えいようせいちょう)といいます。やがて体の中に花の芽ができ、発育してつぼみになり花が咲きます。花のめしべに花粉がついて受精すると、めしべの子房(しぼう)が大きくなって果実になり、果実の中にはタネができます。このような花・果実・タネを作る生長を生殖生長(せいしょくせいちょう)といいます。栄養生長と生殖生長とは、植物が大きくなって子孫を残すためにはどちらも大切なものです

トマト
(1段目の花房が咲き終るころ)
 
ナスの花
     
 果菜類は果実やタネを収穫するために栽培するものですから生殖生長が順調に行われなければなりませんが、果実やタネの発育に必要な体内栄養分の供給元になる葉や茎が良く生長することも大切です。

 また、イチゴ以外のウリ科・ナス科・マメ科の果菜類は、初めから茎を伸ばしながら葉を次々に展開し、その茎のところどころに花を着け、その花が受精して果実になる、という性質を持っています


 
つまり栄養生長と生殖生長の両方が同時に進行します。茎がよく伸びるので草姿(そうし)は立体的です。ですから果菜類の栽培では、栄養生長と生殖生長とが良いバランスを保って永く続いてゆくように計らわねばなりません。

 ナス
を例に挙げて見てみましょう。ナスの苗は本葉が2枚ほど出たころに一番花の花の芽ができます。一番花が咲くころ、その上下から3〜4本の太い枝が出て、それぞれの枝が伸びるにつれて次々に花が着きます。主な枝の脇芽が伸びて横枝も出ます。

 果実がなり始めると、果実の発育に養分をとられるために枝の伸びが弱くなったり花が小さくなったりするので、果実を着け過ぎないように弱い枝を切り取ったり小さい花を摘み取ったり追肥を与えるなどして、栄養生長と生殖生長のバランスを保つようにします。主な枝では、花の咲いた位置から枝の先端までの長さが15センチくらいあるのが生長のバランスのとれている姿です。主な枝の先のすぐ近くに花が咲いているのは、栄養生長の力が落ちている証拠です。



コマツナ(左)とホウレンソウ(右)
     
ナバナ
     
 一方、葉菜類根菜類は、ハナヤサイブロッコリーナバナなどは別として、茎と葉または根を収穫するために栽培します。つまり栄養生長だけを充分にさせて生殖生長には進まないことが望ましいのです。

 また多くの
葉菜類根菜類は生長期間の前半は栄養生長だけをするので、茎はごく短く草姿は平面的です。やがて転機を迎えて生殖生長期に入ると、茎が長く伸び始めて、葉は小さくなり、根も太るのをやめて硬くなってしまいます。

 つまり、この転換期から後は生殖生長だけが進行します。
果菜類のように栄養生長と生殖生長が同時進行することはありません。この栄養生長から生殖生長への転換の引き金になるのは、冬の寒さにあたること、その後の気温の上昇と日が長くなることです。それで、葉菜類根菜類は栄養生長だけをしている間に収穫を終えてしまわねばなりません。

 コマツナを例に挙げて見てみましょう。コマツナのタネを畑にまくと、数日後に発芽して子葉(しよう)を開きます。やがて本葉が次々に出て葉が大きく茂りますが、茎はごく短いので、まるで根から葉がでているように見えます。大きな本葉が10枚ほどになれば収穫期です。

 これを収穫しないで畑においておくとどうなるでしょうか。葉はさらに大きく硬くなり枚数も増えて大きな株になります。しかし茎は伸びません。冬の寒さが厳しくなると葉は広がって地面を覆うようになります。コマツナはこの寒さを感知して茎の先端が花の芽を作るように変化します。早春になると、次第に増してくる春の暖かさと日の長さによって茎が伸び、その先に多くのつぼみが着き、やがてつぼみが開いて花が咲きます。



 
ハナヤサイ(スノーキング)   ブロッコリー(スリーセブン)
 ハナヤサイやブロッコリーは葉菜類のなかでも特別の存在です。秋の低温で日の短い時期でも、葉が何枚も出て大きく育てば茎の先端に花の芽ができて、つぼみの集団が大きな塊となって現れてきます。冬の低温や春の温度上昇・日の長さを必要としないで花の芽ができて発育するのは永年の品種改良によるものです。

 でも、つぼみの集団が大きく発育して収穫期になっても茎はごく短く、草姿は平面的です。この茎が伸び、つぼみの集団が生長して開花するのには、やはり春の暖かさと日の長さの長くなることが必要です。



 
 
果菜類は栄養生長と生殖生長の両方が同時に進行し、葉菜類根菜類は栄養生長をほぼ終えてから後は生殖生長だけをする、これが基本的な違いです。 
 

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