ダイコンは太った根が地上に出るのに  
ニンジンの根はなぜ地上に出ないの?
 イモ類以外の根菜類(こんさいるい)は真っすぐ地下に向かって伸びるものが多く、これらを直根類(ちょっこんるい)と呼んでいます。ダイコンニンジン直根類の代表的存在です。このほかゴボウカブテーブルビートなども直根類の野菜です。ダイコンニンジンは、同じ直根類でも根の色が違うだけでなく、根の太り方や組織にも違いがあります。根が太って収穫期になった姿にも目立った違いがあります。

冬の青首ダイコン畑
  上の写真は冬の畑で見る青首ダイコンです。収穫適期を過ぎ、根が地上に突き出た姿で畝に並んでいます。これは青首ダイコンに限ったことではありません。聖護院ダイコンのような丸ダイコンでも肥大すると左下の写真のように土の上に頂部が出ています。

収穫近い聖護院ダイコン
収穫近い金時ニンジン
 この地上に出ている部分は、根菜類のはてな?4-1根菜類は根だけを食べる野菜ですか?のページで挿絵をつけて説明したとおり、もともと根ではなく、胚軸の部分が根と一体になって肥大したものですから、地上に顔を出して上に向かって伸びても別に不思議ではないのです。

 でも同じ畝で同じときに栽培したニンジンの根は聖護院ダイコンの下の写真のように地上に出ていません。ニンジンにも胚軸はあるのですから、収穫期に上部が地上に出てもよいはずです。


 なぜ
ニンジンの根は地上に出ないのでしょうか。それは地中で根を下に引き下げる力が働いているからです。ニンジンの根では肥大途中の時期から肥大部分の下の方の細胞が縦方向に少しずつ収縮を始めます。その結果、根の肥大部分が土の中へ引き込まれてしまうのです。

 秋ダイコンの品種ではこの細胞収縮による地中への引き込みはほとんどありませんが、ダイコンでも越冬して早春に収穫する冬ダイコンに属する品種ではこの地中への引き込みが起こります。この現象を吸い込み(吸込)と呼んでいます。冬ダイコンの品種では、この地中への引き込みに加えて、葉が水平に広がって根際を覆い、霜や寒風で凍結するのを防ぐ働きをします。

越冬中の露地イチゴ イチゴの牽引根
吸込二年子ダイコン
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この根の組織の収縮による沈み込みは、ニンジンだけでなく他の根菜類やイチゴなど多くの野菜に見られる現象です。イチゴなどでは特定の根が引き込みに強く働いていて、これらの根を牽引根(けんいんこん)といいます。野菜に限らず冬越しをする草は、養分の貯蔵庫である根が寒さで傷まないように、さまざまに工夫してきびしい冬を越すのですね。
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