野菜の横綱はだれ?
日本だけでも150種類を超えるさまざまな野菜。世界全体となるともっと多くの種類があります。
その中で一番多く作られている野菜はどれでしょう。このページは
野菜の生産額ランキングのお話です。


農産物の生産量を示す指標としては、栽培面積・収穫量・生産金額などがあります。イネや麦類のような穀物では栽培面積や収穫量で表わすことが多いのですが、野菜では、ハウス栽培のように少ない面積で多くの収穫を挙げる方法もあり、大根やキャベツのような重い種類やピーマンやホウレンソウのように軽い種類もあるので、栽培面積や重量では産額の比較がよくできません。野菜の場合は、市場での取引高に基づく生産金額で表わして比較するのがもっとも分かりやすく、理に適った方法だと思います。

野菜の横綱・世界編

現在、世界で最大の生産額を誇る野菜はトマトです。
トマトは果実を生で食べたり料理に入れたりするほかに、ジュース・ケチャップ・ピューレなどの加工食品としても大量に消費されています。トマトはもともと南米アンデス山脈の高地に自生していたナス科の植物で、原住民によって栽培されていました。

それがヨーロッパ人のアメリカ大陸到達ののち、ヨーロッパに持ち込まれて品種改良され、世界中に広がって作られるようになりました。

野菜の世界ランキングの第2位は
菜類、第3位はウリ類となっていますが、これらは地域や国によってさまざまな種類を含んでいます。単一の種類としてはキャベツスイカメロンタマネギなどが多く、レタスブロッコリーナスがこれに続きます。また先進国と発展途上国とでは、種類の順位が大きく違っています。

野菜の横綱・日本編

日本での野菜ランキングはどうでしょうか。日本国内での生産額を元に番付を作ってみましょう。この生産番付は相撲の番付と違って東西がありません。その代わり、昭和15年平成元年平成15年と時期を変えて産額の移り変わりを示しました。昭和15年は戦前のまだ統制経済に入る前、平成元年は戦後四十数年を経た日本経済の絶頂期、平成15年は最新の数値です。
  野菜全国生産額順位番付 (日本国内)
番付 順位 昭和15年 平成元年 平成15年
横綱 サツマイモ キュウリ トマト
大関 ジャガイモ イチゴ イチゴ
関脇 ダイコン トマト キュウリ
小結 サトイモ メロン ネギ
前頭
筆頭
スイカ ダイコン ジャガイモ
前頭
二枚目
つけな(菘) ジャガイモ ホウレンソウ
前頭
三枚目
 ナス ネギ ダイコン
前頭
四枚目
キュウリ サツマイモ メロン
前頭
五枚目
カボチャ  ナス サツマイモ
前頭
六枚目
インゲンマメ スイカ  ナス
前頭
七枚目
十一 ゴボウ ホウレンソウ キャベツ
前頭
八枚目
十二 ネギ タマネギ タマネギ
前頭
九枚目
十三 タマネギ キャベツ レタス
前頭
十枚目
十四 キャベツ レタス スイカ
前頭
十一枚目
十五 トマト 結球ハクサイ ニンジン
前頭
十二枚目
十六 ニンジン ニンジン ヤマノイモ
前頭
十三枚目
十七 エンドウ サトイモ もやし
前頭
十四枚目
十八 ソラマメ ピーマン 結球ハクサイ
前頭
十五枚目
十九 レンコン ゴボウ ピーマン
前頭
十六枚目
二十 カブ ヤマノイモ スィートコーン
番付 順位 昭和15(1940) 平成元年(1989) 平成15年(2003)
             つけな(菘)はアブラナ科アブラナ属葉菜の総称。ヤマノイモはナガイモ・ジネンジョなどヤマノイモ科根菜の合計。
クリカボチャ
この番付表での順位の変化は日本の食生活の移り変わりをそのまま表わしています。戦前上位だったイモ類やゴボウ・レンコン・カブなどの根菜類は順位を大きく下げ果菜類がランクを上げています。中でもイチゴ・メロンなどのデザート野菜が躍進しています。スイカが順位を下げているのは、サイズが大き過ぎて何でも冷蔵庫の現代に合わないからでしょう。

ただ、カボチャのように貯蔵・輸送に適した種類は、外国からの輸入が多くなって順位を下げているものもあります。ですから、国内生産順位と国内流通消費量とは一致しない種類もあります。



そして、日本でもトマトがついに横綱になりました。トマトは日本へは江戸時代後期に渡来していますが、始めは珍しい植物としてごくごく一部で栽培されるだけでした。明治になって主にアメリカの品種がいくつも導入されたのですが、果実が濃い朱色でトマト臭が強い品種が多く、日本人の好みにも食生活にも合いませんでした。

昭和になって、果実が桃色でトマト臭の少ないポンテローザという品種が入って、デザート野菜として多く食べられるようになりました。昭和10年代には、日本で福寿1号・福寿2号という一代雑種利用(
野菜のはてな?Q&A1-5 交配種とそうでない品種はどう違うのですか? 参照 )の新品種が発売されて栽培が急速に増えました。

そして昭和20年代以後も福寿2号がロングランを続け、またこれに続く大型福寿・強力米寿・黄寿などの新品種が次々に登場します。

ポンテローザ 強力米寿 黄 寿
ピ コ レッドペア イェローピコ 桃太郎

ただ、トマトの流通上の問題点は、収穫から消費者の手に渡るまでに果実の熟度が進み、熟しすぎて果肉が崩れてしまうことでした。そのため、生産農家はまだ緑色の多く残っている時期に収穫して出荷していました

この問題の解決がトマト生産上の課題でしたが、タキイ種苗株式会社は自社農場で十数年をかけて品種改良に取り組み、完熟果で収穫できて果肉の品質が長く保たれる新品種・桃太郎を育成して、1981年に発売しました。この桃太
はまたたく間に全国に広がって栽培されるようになりました。

桃太郎その後もさらに改良され、ハウス桃太郎・ホーム桃太郎・桃太郎ファイト・桃太郎コルト・桃太郎はるか
などが次々に育成されています。。それととともに栽培法もそれぞれに工夫されて、生産も消費も急速に増え続け、今では桃太グループ全体の日本全国の栽培シェアがトマト全体の78%
にまで達しています。

一方では、食べやすい小粒の
ミニトマトにも人気が集まり、さまざまな品種が発表されて生産を伸ばしています。

新品種桃太郎の出現やミニトマトの人気などによって、
トマトの生産額は、日本でもついに野菜生産のトップに躍り出ました


 
世の移り変わりにつれて、野菜生産順位はこれからどんなに変わって行くのでしょう。


野菜の写真の一部は、タキイ種苗株式会社のカタログから転載させていただきました。ご厚意あつくお礼申し上げます。

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